カテキンの血圧上昇抑制効果

平均寿命が世界一となった日本人にとって、
高血圧は大半の人が避けて通れない問題です。
年を経るにつれて血圧は上がり、高血圧症の患者の割合は、
20代では3.6%ですが50代では42.9%にまで高まります(※1)。

さらに冬は気温が下がって血管が縮むので、
血圧が上がりやすくなります。
寒いからといって家にこもっていると、運動不足によって
血圧が上がるリスクが高まります。

高血圧症は脳梗塞やうっ血性心不全、心筋梗塞など
症状の重い合併症につながるおそれがあります。

高血圧症の90%以上は原因のはっきりしない本態性高血圧です。
食塩の過剰摂取、肥満、喫煙、飲酒、遺伝的体質など
多様な要因によって引き起こされます。
そのため発症を防ぐには、規則正しい食生活や適度な運動など、
厳しい自己管理が余儀なくされます。

緑茶に含まれるカテキンは、血圧の上昇を抑える効果があると報告されています。

研究報告によると、
緑茶(カテキン583mg/340ml)を12週間毎日飲み続けたところ、
内臓肥満型の成人(25~55歳)で収縮期血圧が139.8→130.8mmHgに、
拡張期血圧が90.3→83.5mmHgに低下しました(※2)。

また、肥満の子供(6~16歳)を対象とした試験でも、
緑茶(カテキン576mg/340ml)を24週間毎日飲み続けたところ、
収縮期血圧が下がったことが報告されています(※3)。

本態性高血圧の要因の一つとして、アンギオテンシンⅡというタンパク質があります。
血液中のアンギオテンシンⅠが、肺の毛細血管で
代謝されることでアンギオテンシンⅡとなり、
これが血管の収縮を促し、血圧を上昇させます。

カテキンはこのアンギオテンシンⅡの生成を抑えることで、
血圧の上昇を防ぐのです。


いれたての熱い緑茶でほっと一息。
カテキンの効果で血圧の上昇を抑えつつ、
からだが温まることで血管が広がり、血圧が下がる。
緑茶は、血圧を上げない穏やかな日々にうってつけの飲み物です。


※1 厚生労働省.平成30年国民健康・栄養調査.第55表 高血圧症有病者の状況 – 高血圧症有病者の状況、年齢階級別、人数、割合 – 総数・男性・女性、20歳以上

※2 Nagao, T., Hase, T., Tokimitsu, I. A green tea extract high in catechins reduces body fat and cardiovascular risks in humans. Obesity (Silver Spring) 2007;15:1473-1483.

※3 Matsuyama, T., Tanaka, Y., Kamimaki, I., Nagao, T., Tokimitsu, I. Catechin Safely Improved Higher Levels of Fatness, Blood Pressure, and Cholesterol in Children. Obesity (Silver Spring) 2008;16:1338-1348.