茶と健康・茶の成分 Tea Health – 健康にとって理想的ともいえるCHA。現代人にふさわしいヘルシー飲料

17世紀ヨーロッパで「万能薬」と珍重された、東洋の神秘的飲料「茶」の薬効

英国で最初に茶を売った店として有名なギャラウェイハウスには、茶の効用を記したポスターが掲げられていました。それによると、茶の適応症は精力増進、頭痛、不眠、胆石、倦怠、胃弱、食欲不振、健忘症、壊血病、肺炎、下痢、風邪などの14の症状で、いわば“万能薬”。しかもその効能は、東洋人や東洋への宣教師、ヨーロッパの著名な医師のお墨付であると評判でした。

当時の英国にとって、中国や日本はすぐれた文化を持った神秘的な先進国であり、茶はその文化の象徴でもあったのです。

科学技術の進展により解明された茶の保健性成分

茶にはカテキン(お茶特有のポリフェノール)、カフェイン、テアニン(茶にしか含まれないアミノ酸)、ビタミンC・A・B群・E、ミネラル類などの成分が含まれており、これら成分は健康にとって有用であることが解明されてきました。このことは、かっての英国ギャラウエイハウスの宣伝や、日本の喫茶養生記に記された内容の裏付けともいえます。

茶は現代人にこそ飲んでいただきたいヘルシーな飲み物です。

こんなにヘルシー。茶の成分の主な効用

カテキン

茶の主成分であるカテキンは、強力な抗酸化作用を持ち、私たちの体内で過剰に生成した活性酸素を分解してくれます。 過剰の活性酸素は、正常な細胞のDNAを攻撃してガンの原因になったり、コレステロールなどの脂質を酸化して動脈硬化を起こし、脳血管疾患や心疾患を引き起こしたりします。 カテキンの発ガン抑制・老化防止効果はこの抗酸化作用によるものです。また、血中へのコレステロールの吸収を防ぐ、血圧上昇を抑える脂質の吸収を抑えつつ体脂肪を低下させる血糖値を下げるなど、生活習慣病の予防につながる効果があります。1日10杯以上の緑茶飲用でガンの発生年齢を遅らせ、発ガン危険度がほぼ半減したという報告があります。 次に、各種食中毒菌に対する抗菌効果も驚異的で、普通に飲む濃さのお茶で食中毒の予防ができます。 虫歯菌に対しても同様です。 インフルエンザウイルスの感染防止効果もあり、お茶でうがいをするのもおすすめです。 一方、腸内細菌では、悪玉菌に対しては殺菌力がありますが、ビフィズス菌などの善玉菌に対しては増殖を促すので、整腸作用が期待されます。 この他、抗アレルギー作用、消臭作用なども注目されます。

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カフェイン

お茶を含め、嗜好品として愛されてきた多くの食品にカフェインは含まれています。
カフェインは白色の結晶で水に溶けやすく、口に含むと弱い苦味があります。
体内に入ると腸管から吸収され、その大半は肝臓で代謝されます。
主な日本茶のカフェイン含有量は、下記の表・棒グラフの通りです。

参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の測定値を基に筆者作成

カフェインは中枢神経を鎮めるはたらきを妨げることで、覚醒効果をもたらします。
濃いお茶を飲むと目が冴えるのはこの覚醒効果によるもので、
古代日本からお茶が修行僧に愛飲されていた理由のひとつです。

覚醒効果が効きすぎると体調が悪くなる懸念がありますが、
緑茶にはリラックス効果があるテアニンも含まれています。
そのため、緑茶による覚醒効果は他のカフェイン含有飲料と比べて緩やかな効き方になります。

また、カフェインは交感神経の刺激によって体の基礎代謝を向上させ、脂肪燃焼を促進します。
他にも下記の効果が明らかになっています。
・運動能力促進作用
・胃酸分泌促進
・パーキンソン病発症リスク低下
・利尿作用

カフェインの過剰摂取はめまい、心拍数の増加、不眠症、吐き気など健康被害をもたらすことがあります。そのため欧州食品安全機関(EFSA)やカナダ保健省は、健康な成人の一日摂取量は最大400mgまでとすることを推奨しています。
また、妊娠中のカフェインの過剰摂取は出生時の低体重、早産などにつながる可能性が示唆されているため、妊婦にはさらに少ない摂取量が推奨されています。(欧州食品安全機関(EFSA):200mg/日、カナダ保健省:300mg/日)
このような、カフェインの摂取量を減らしたい方には、玄米茶などカフェイン含有量の少ないお茶がおすすめです。また、カフェインは熱めのお湯に溶けやすいため、冷水でお茶をいれれば摂取量を少なく召し上がっていただけます。

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テアニン

テアニンはお茶に含まれるアミノ酸の中で最も多く含まれ、ほんのりとした旨味があります。体内に入ると腸管から吸収され、脳に取り込まれると考えられています。
茶葉の中にあるテアニンは日光によって、渋味成分のカテキンをつくる原料として消費されますので、日光を遮って栽培する抹茶や玉露に多く含まれ、茶期別では二・三番茶に比べ、蓄積する期間が長い一番茶に多く含まれています。また、茶の木の根でつくられるテアニンは、茎を通って葉に運ばれることから、茎茶(かりがね)にも多く含まれます。
ヒトにテアニンを摂取させ、脳波を測定しますと、後頭部、頭頂部にα波が長く、そして高い頻度で観察されます。α波とはリラックスしているときに見られる脳波で、テアニンにリラックス効果があることがわかります。また、カフェインの興奮作用を抑えることも知られています。
ヒトは精神的ストレスを感じると、神経伝達物質が増えて血圧が上がります。脳に取り込まれたテアニンは神経伝達物質を減らし、血圧を下げることで、ストレスを減らす効果があります。さらに、神経の細胞を守ることで認知症を予防する効果があることが報告されています。

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ビタミン類

緑茶には多くのビタミン類が含まれていますが、中でもビタミンCは豊富です。 カテキン同様の抗酸化作用を示します。 抗ガン作用や動脈硬化防止効果のほか、美容にもよいといわれます。 抗ガン作用はビタミンEやビタミンA(β-カロテン)も示します。 ビタミンCは水溶性のため水に溶け出しますが、ビタミンA、Eは脂溶性のため水に溶け出しません。抹茶として飲むか、茶葉を調理に取り入れて食べる工夫が必要です。

水溶性ビタミン
脂溶性ビタミン

ミネラル類

カリウムとリンが主体ですが、マンガン、亜鉛、フッ素、銅、セレンなどの微量必須元素も含まれています。 亜鉛は味覚異常防止作用、フッ素は虫歯予防作用、セレンは抗酸化・ガン予防作用があります。 マンガン・銅・亜鉛は、活性酸素を無毒化するSOD酵素の構成成分です。

ポリサッカライド

血糖上昇抑制作用

サポニン

抗酸化作用、抗菌作用、免疫力向上

※奈良県立医科大学様(微生物感染症学講座 矢野寿一教授)は、お茶による新型コロナウ イルスの不活化を確認し、お茶の種類や製品により不活化能が異なることを実験的に明らかにしました。(令和 2 年 11 月 25 日 )